センブリエキスは多くの育毛剤に含まれていて、良く知られたメジャーな育毛成分です。
しかし、本当に育毛効果があるんでしょうか。
本記事ではセンブリエキスの育毛効果について、科学的根拠に基づいて確かめていきます。
センブリエキスとは
センブリエキスは苦いお茶で有名なセンブリのエキスを抽出した成分です。
センブリはリンドウ科センブリ属の植物で、古くから薬草として親しまれてきました。
センブリは成長すると太さ1~2mmほどの茎が、根元から数本に分かれて生えます。葉は線のように細長い形をしており、9月から11月ごろには白地に紫色の線が入った、きれいな花を咲かせます。
センブリは、古くから胃薬、整腸薬として活用されてきました。「良薬口に苦し」といいますが、センブリは非常に苦いことで知られています。
漢字では「千振」と書き、この名は「お湯の中で千回振り出しても苦い」というのが由来になっています。
センブリエキスのなかには、以下のような有効成分が含まれています。
・スウェルチラマリン:抗炎症作用、血行促進作用
・スエロサイド:鎮痛作用
・ゲンチオビクロサイド:抗酸化作用
・キサントン:抗酸化作用・抗炎症作用
・アマロゲンチン、アマロスウェリン:毛乳頭細胞活性化作用
センブリエキスの育毛効果を証明した検証試験
センブリエキスの育毛効果を確認できた検証は主に2つあります。
名古屋大学での臨床試験
センブリエキスを22.5%配合した育毛剤を、50歳以下のAGA患者14人に4カ月塗付したところ、3人に硬毛が増えるという効果がありました。
実際に人体に対して効果を検証した臨床試験なので、試験管やマウスを使った検証と比べて信頼度は高いですが、
14人中3人にしか効果があらわれなかったことや、22.5%という高濃度のセンブリエキスを使った臨床試験であることから、育毛に対して効果的とは言いづらい試験結果になっています。
応用生化学研究所よりオレアノール酸配合育毛剤 (センブリ抽出液OA22.5%を含有する70%エタノール溶液) の臨床試験を依頼されたので, 50歳以下の男性型脱毛症14例の外観上正常な部位を対象に基剤との比較試験を施行し検討した。
左右対称半径1cm円内の使用4カ月後の硬毛数は実薬側で治療前後で有意に増加を示したが,偽薬側では増加を認めなかった。臨床判定では3例に有効性が認められた。
副作用は1例に癌痒感を認めたのみで, 長に安全に使用できる薬剤であると判定した。
丸善製薬の研究
丸善製薬が行った研究で、センブリエキスに含まれるアマロゲンチン、アマロスウェリンという成分が、毛乳頭細胞を刺激して発毛を促進する効果があることが分かりました。
2007年に特許も取得している研究結果になります。
さらに、毛乳頭細胞活性化の効果の他にも、
・テストステロン5α−リダクターゼ阻害剤
・アンドロゲン受容体結合阻害剤
・血管内皮増殖因子産生促進剤
・骨形成タンパク質−2産生促進剤
・インスリン様増殖因子−1産生促進剤
といった効果があることが研究で明らかになりました。
これが全て事実であれば、育毛剤成分の主役となりえるほどの効果なのですが、
この研究は試験管の中で検証しただけで、人体での臨床試験は行っていないので、そこまで信頼性は高くはないです。
さらに、センブリではなく、同じくリンドウ科の植物である「チライト(チレッタセンブリ)」という植物のエキスを使った研究なのもマイナスポイントです。
参考:https://patents.google.com/patent/JP2008280308A/ja
センブリエキスの総合評価
上記のように、センブリエキスは論文などの科学的根拠がある成分なので、全く育毛効果がないということは考えづらいです。
しかし、本当に効果的な育毛成分かといわれると少し疑問です。
なぜなら、人体で行った臨床試験で効果がでた人の割合が少なかったり、そもそも人体で検証していない研究結果があるからです。
さらに、センブリエキスの含有量にも注目する必要があります。
臨床試験で効果があったセンブリエキスの含有量は22.5%だったのですが、果たして育毛剤にこれほどの濃度のセンブリエキスが入っているでしょうか。
多くの育毛剤でセンブリエキスの含有量は非公開になっていますから、ここまでの濃度のセンブリエキスは入っていないと考えるのが妥当だと思います。
というわけで、センブリエキスは入っていないよりも入っていた方が良いというレベルの育毛成分だと考えた方がよいです。
育毛剤の成分に関するまとめ記事はこちら▼
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