「なぜ私がこんな仕打ちを受けなきゃいけないんだ…。」
ブラック企業に勤めていると、このような理不尽に遭遇することはよくあると思います。
長時間労働やサービス残業は当たり前。
私もいきなり給料を下げられる、土下座を強要させられる、血判付きの反省文を書かされるなど、わりと極悪レベルのブラック企業に勤めていました。
当時はそのせいで心が折れてうつ病になりかけましたが、退職した後に落ち着いて考えてみると、なぜブラック企業が生まれ、そしてなくならないのかが分かってきました。
もし現在あなたがブラック企業に勤めているのであれば「あー、しんどい」と自分の感情だけにとらわれて思考停止することなく、ブラック企業側の立場を理解しておきましょう。
企業側の視点をもっておくことで、ブラック企業に搾取されずに自分の人生を守ることができるからです。
ブラック企業が無くならないのは「儲からない」ことが最大の原因
ブラック企業のほとんどは儲かっていません。
そして、この「儲からない」事こそが普通の会社がブラック化する最大の原因なのです。
その理由を以下で解説します。
企業が最も簡単にコスト削減できるのが人件費
ご存知の方も多いと思いますが、会社経営は簡単にいえば売上から経費を引いた「利益」を追求していくゲームです。つまり売上を上げまくって、経費を下げまくるほど「利益」が出ます。
売上が減ったり経費が増えることによって「利益」を出せない状態が続くと、会社を存続できなくなってゲームオーバーとなってしまいます。
さらに、経費のなかにも2種類の経費があります。
1.固定費
・売上(生産量・販売量)の増減に関わらず一定にかかる経費の事をいいます。
例えば、町のパン屋さんを思い出して下さい。
毎月かかる家賃や光熱費、正社員スタッフの人件費などは固定費になります。
2.変動費
・売上(生産量・販売量)に比例して増減する経費のことを言います。
仕入原価や原材料費、販売手数料などがこれにあたります。
パン屋さんだったら、売上が増えた月はいつもより小麦粉や卵などの材料を多く仕入れなければいけませんよね。そのため、売上に比例して変動費も増えるのです。
ここで、儲かっていないブラック企業の経営者はこう考えます。

しかし、家賃や光熱費といった固定費を削ると商売ができなくなってしまうので、必然的に人件費を削ることになります。
まずやることは、正社員をカットしてパート・アルバイトを増やす事です。こうすると固定費だったはずの人件費が変動費になるので経営的にはとても助かります。
するとそのしわ寄せが正社員に来るので、正社員はどうしても勤務時間が長くなります。
しかし、残業代を支給して正社員の給料を増やせば、パート・アルバイトを採用して固定費を減らした意味がないので、正社員にはサービス残業を強制するようになります。

ここまででもブラックな匂いがプンプンしますが、さらに悪質な会社になると正社員のただでさえ少ない給料さえもあの手この手で削減しようとします。
会社のために一生懸命働いている正社員に向かって、この目標が達成できなければ給料半分にするぞといった横暴を平気でやってくる経営者もいます。
しかも両者がその条件で合意してから入社したならまだしも、当然のように後出しジャンケンで不利な条件を突き付けてきます。もちろん雇用契約などの書面もなし。
こうして儲かっていないブラック企業の経営者は、自身の経営能力のなさを棚に上げて人件費という劇薬に手を出してしまうのです。しかも経費の中で一番大きいのが人件費なのでこれを削った時のインパクトは絶大です。
しかし、人件費を削減するという事は麻薬に似ていて、その瞬間は気持ちいいかもしれませんが、後々会社の売上は下がっていきます。
当然ですがクソ安い給料では従業員のやる気もあがらないし、優秀な人材も入ってこないからです。最悪会社を辞めてしまう可能性もあります。
こざかしい経営者はそれもわかっているので、アメとムチを使いこなしてなんとか会社を辞めさせないようにします。



こんな感じです。いわゆる「パワハラ」ですね。
そして、ブラック企業がなくならないのはそこで働いている従業員のせいでもあります。
劣悪な環境でも「転職を繰り返す=悪」といった思い込みから、我慢して働き続けてしまう従業員によってブラック企業は成り立っているからです。
以上がブラック企業が生まれる仕組みです。
どうでしょう。あなたの会社は儲かっていますか?
なぜ儲からないのか?儲かりやすい業界と儲かりにくい業界がある
では、ブラック企業はなぜ儲からないのでしょうか。
もちろん、企業努力で解決できる問題は山積みでしょうが、それ以前にそもそも儲かりにくい業界にいるからと考える事もできます。
起業家で有名なホリエモンこと堀江貴文さんがその著書の中で儲かるビジネスの4原則を教えてくれています。
・利益率の高い商売
・在庫を持たない商売
・定期的に一定の収入が入ってくる商売
・資本ゼロ、あるいは小資本で始められる商売
この4つの条件のうち当てはまる項目が多ければ多いほど成功する可能性が高いです。反対に儲からないのであればこの4つの条件を満たしていない可能性があります。
すなわちブラック企業が儲からないのは、所属している業界だったりビジネスモデル自体に問題がある可能性が高いのです。
ですので就職先を選ぶときも、間違って儲からない業界を選んでしまうとブラック企業につかまる可能性が高まります。
先程のパン屋の例を思い出してみましょう。
・利益率の高い商売
固定費と変動費が経営を圧迫し、さらに競合も多いため利益率は低い。⇒当てはまらない
・在庫を持たない商売
パンを製造するための材料や包装材などの在庫を抱えている。さらに食品のため廃棄リスクもある。⇒当てはまらない
・定期的に一定の収入が入ってくる商売
月によって売上にはバラつきがある。⇒当てはまらない
・資本ゼロ、あるいは小資本で始められる商売
開店時の内装費や店舗を借りる時の保証金、さらにはパンを製造する機械などの初期費用がかさむ。⇒当てはまらない
つまり、4つの条件に1つも当てはまっていない町のパン屋は儲かりにくい商売ということができます。
おおまかな業界地図でいうと、こんな感じです。
儲かりやすい業界…金融、不動産、コンサル、IT、人材派遣、ゲーム 等
儲かりにくい業界…飲食、小売、アパレル 等
儲かりやすい業界は4つの条件のうち複数当てはまるケースが多いのに対し、儲かりにくい業界は1つも当てはまりません。
自分の所属している業界が4つの条件にあてはまるかをまず考えてみましょう。
ブラック企業を見極めるためには
ではブラック企業かどうかを見極めるにはどうしたら良いのでしょうか。
ブラック企業につかまってしまうと人生の貴重な資産である時間・健康・お金・キャリアといったものが全て吸い取られてしまいます。
既にブラック企業につかまってしまった人には別の解決策がありますが、これから就職もしくは転職しようとする人は、検討している会社が事前にブラックかどうか知っておいた方がいいです。
ブラック企業経験者の私からひとことアドバイスさせてもらうならば、
良い事しか言わない会社は信用するな! うまい話には必ず裏がある。
これに尽きます。
詳しい見極め方は以下の記事をご覧ください。
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